8月26日、栄中日文化センターにて「愛知の発酵・醸造文化を味わう」講座を開催しました。
ゲストにお迎えしたのは、丸加醸造場の4代目、岩瀬浩司さん。
愛知県豊田市で木桶仕込みの天然醸造を今なお守り続ける蔵元です。

岩瀬さんは東京農業大学で醸造学を学んだ後、証券会社で3年ほど働き、2007年に家業へ戻られました。
戻った当初は歓迎されたものの、若くして役職に就いたことで、
工場の職人さんたちとの間にうまくいかない時期もあったそうです。
それでも、自分の考えを言葉にして伝えたり、パートさんに手作りランチを振る舞ったりしながら、
少しずつ信頼関係を築いていった歩みを語ってくださいました。
戦後に始めた漬物・味噌漬けは、トヨタ自動車の集団就職で愛知に来た九州出身の方たちが、
帰省の際に持ち帰る土産物を求めていたことがきっかけだったといいます。
そこから生まれたのが、今も看板商品の一つである山ごぼうの味噌漬けなのだそうです。
2022年には、古い味噌蔵を改装したカフェ「haccosido」をオープン。
自社製品を使ったお料理の提供を通して味を知ってもらい、
そこから家庭の味として広がっていくことを目指したお取り組みで、
木の存在を感じる素敵な空間。
最寄り駅から徒歩2〜3分とアクセスも抜群ですよ。

また、輸出も少しずつ広がっているのだそう。
海外へのお取り組みを思い返すと、2019年に欧米のシェフへ味噌や塩麹を紹介した際は
まだ麹への理解が浅かったとか。
2023年に再訪した際には現地の若い料理人まで麹の使い方を知っていて、
発酵への関心の広がりを肌で感じたとのこと。
一方で、海外の各地で新たな原料を活用した発酵技術が生まれていたり、
発酵文化が日本人以外の影響力のある方によって語られてきているなどの現状は、
「発酵食文化の発信元が世界で曖昧になりつつあるのではないか」という危機感もお話しされていました。
これは、日本からもっと積極的に発信していく必要性をがありますね。

加藤先生からは、豆味噌はアミノ酸のバランスに優れ、
ご飯との相性が栄養学的にも理にかなっているというお話が。
発酵性の大豆食品を多く摂る人ほど死亡リスクが低いという研究にも触れられ、
医師と共同で味噌と健康について調べる新しい取り組みも始めているのだそうです。
期待が膨らみますね。

今回もお料理の提案は2品。
丸加醸造場の肉味噌を使った、長田さんによる冷たい肉味噌つけ麺と、
古澤さんによる、山ごぼうの味噌漬けと豆腐を合わせたシンプルな和え物。
どちらも家庭ですぐに真似できる内容で、参加者からも大変好評でした。


質疑応答では、「haccosido」で提供しているメニューについての質問も。
自社の味噌で仕立てた豚汁や、味噌だれとウスターソースを合わせたタレを使ったカツサンドなど、
発酵を前面に押し出すのではなく、食べ終えたときに自然と「美味しかった」
と感じてもらうことを意識しているのだそうです。
最後はお楽しみのお買い物タイム。
丸加さん、そして岩瀬さんのファンになられたからなのか(元々ファンなのかも!)、
豆味噌を始めあっという間になくなっていく人気ぶりでした。

ご参加の皆様、そして、ゲスト講師の岩瀬さん、ありがとうございました。

「愛知の発酵・醸造文化を味わう」講座は、単回でもご参加いただけます。
次回は、2026年9月30日(水)に開催です。
ご興味ある方はお気軽にお申し込みくださいね。
会場でお待ちしております。
お申し込み・問い合わせ先:中日文化センター栄 0120-53-8164
https://www.chunichi-culture.com/programs/program_213585.html
