去る9月21日、『世界がうらやむ東海の発酵美食 ~文化と健康と観光と~』という公開講座が名城大学天白キャンパスにて行われました。
当初は対面のみで開催する予定でしたが、「オンラインでも興味を持ってくださる方がいるかもしれない」という事で、対面&ウェビナーのハイブリッド形式で募集がされました。結果、申込ベースで300人を超えるお申し込みとなり、想像以上の反響の中開催される事となりました。
■講師
株式会社まるや八丁味噌
社長 浅井 信太郎
日東醸造株式会社
社長 蜷川 洋一
日本料理一灯
店主 長田 勇久(オンライン)
発酵ライフ推進協会名古屋校
校長 古澤 久美
発酵プロモーションズ
代表 吉田 さき子
農学部 応用生物化学科
教授 加藤 雅士
まず始めに、主催の加藤先生のお話からスタート。「発酵食とは何か?」「麹菌と健康」「発酵調味料の魅力」という3本立ての内容に、熱心にメモや写真を撮られていました。とりわけ、「麹菌は胃酸で完全に溶けてしまうわけではなく腸に届いている」「死菌でも大腸に良い作用がある」といった長年の研究成果はアカデミックな機会でなければなかなか聞く事も無いので、皆さん驚かれていました。
講師のお2人目は、まるや八丁味噌代表取締役の浅井信太郎氏。3本もの動画をご用意くださり、その内容はバーチャル蔵見学さながら。とりわけ、あの6尺桶の石積みは代々親方制度を踏襲する職人技だというお話には、皆さん関心しきりでした。400年以上続く老舗ならではの、脈々と続くモノづくりの歴史は重みが違いますね。
そして、講師の3人目は、日東醸造代表取締役社長の蜷川洋一氏。愛知は工業が盛んですが実は農業王国である、というお話から始まり、醤油は5種類の規格で分類されることや、味覚や香り、塩分濃度の違い等を分かりやすく解説くださいました。そして、なぜ「白しょうゆ」が生まれ「白たまり」へと昇華させていったのか、等、独自の企業努力の片鱗をお聞かせくださいました。
こうして前半の講座が終了し、10分の休憩。その後、パネルディスカッションに突入です。
まずは、主催の加藤先生も発起人のお一人である私ども「あいち発酵美食学コンソーシアム」の活動とメンバーの紹介をしました。
パネルディスカッションでは、発酵食品に関わるそれぞれの立場から、生活に取り入れた際の上手な活用法(調理法)のお話に始まり、最近注目されつつある「観光」との関わりについての考えや提言も交わされました。
長田さんは、お店の合間をぬってのオンライン参加。料理人としてのご経験を踏まえた発酵調味料の活用のコツなどをお話ししてくださいました。
その後、オンラインからのQ&A、会場からの質疑応答をお受けして閉会となりました。受講後アンケートもかなり多くの方にご回答いただくことができ、ご参加の皆様による積極的なご姿勢がとてもうれしかったです。いただいたご意見やご声援は、今後の講座のテーマや運営の参考にさせていただきます。
当団体としても初めてのハイブリッド形式で、司会や運営に至らぬ部分もあったかと思いますが、加藤研究室の院生の方たちを始め多くの方のご協力でこの日を無事に終えられた事に、心より御礼申し上げます。また来年も開催できたら…と思います。
受講いただき、ありがとうございました。